言葉に色をつけるなら

フィクション、たまにノンフィクション。

青藍の夜空に浮かぶ色とりどりの花を、今年の夏は見れそうにない。

きっと周囲の人は現在進行形である私の意中の人の話を聞きたがるだろうが、
(まぁ、頼まれなくても話す性なので、もう聞き飽きている人がいる可能性も大いにあるが。)
今日のお昼にふと思い出したのは、16歳の恋だった。
私が初めて男性と二人きりで出掛けた、その日のことを思い出したのだ。

その彼は1歳年上だった。
いま思えば、あまり魅力的な人ではなかったかもなあ。
当時17歳の彼は、いわゆる"厨二病"からまだまだ抜け出せていない、少し斜に構えた男子高校生だった。
24歳の私からしてみれば「何が良かったんだろうなあ」と苦笑してしまうのだけれど、16歳の私にとって、彼は"好きな先輩"だった。

8月の中旬だったと思う。
私は「先輩、花火見に行きませんか?」と積極的に彼を誘った。こういう性格はいまだ変わっていないと思う。

なんで無事二人で見に行くことになったのかとか、その辺りはあまりよく覚えていないけれど、周りの先輩が協力してくれたような気がする。まぁ、それも、面白がってやられてたのが後々分かったのだけれど。

当日、私は川崎駅から東海道線に乗った。先輩は横浜から乗ってくることになっていて、「3号車の、進行方向から数えて、先頭の扉の近くにいて」とかなんとか言われた。
かなりの鉄道オタクだったのだが、本当に彼らしい待ち合わせの仕方だったなあと思う。

浴衣可愛いねって言われたこと、くだらない会話をしたこと、その辺りはなんとなく覚えているけど、花火がどんなだったかとかは正直よく覚えていない。

いや、覚えていないというより、あまり思い出したくないのかもしれない。

私たちはただただ曖昧な終わり方をしてしまって、彼は私にとって"好きな先輩"から"嫌いな人"になってしまった。

まだまだ幼かったなあと今でこそ思えるが、当時の私にとってはそれが全てだったので、かなり腹が立ったし悲しかった。

そんな懐かしい思い出を、急に思い出したので、書いてみただけである。
別にこの話にはなんの面白みもオチもない。

本当に私はいつになっても変わらないなと我ながら思う。
ただ一つ違うのは、大人になった今の私には、花火に関して良い思い出がある、ということだろう。